アストラゼネカのフォシーガ、第III相DAPA-HF試験の新たな解析により、左室駆出率が低下した心不全患者さんに対する一貫した効果を示す

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年11月17日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

2型糖尿病合併の有無に関わらず一貫した効果:
開始後1カ月における早期効果発現ならびに患者報告アウトカムの改善を示唆

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2019年11月17日、第III相DAPA-HF試験の5つの追加解析から得られた新たなデータを発表し、SGLT2阻害剤フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の標準治療への追加は、プラセボと比較して、主要複合評価項目(入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管(CV)疾患を原因とする死亡)の発現リスクを低下させることを示唆しました。

DAPA-HF試験は、SGLT2阻害剤で初めての、2型糖尿病合併の有無を問わない、左室駆出率低下を伴う心不全(以下、HFrEF)の患者さんを対象としたアウトカム試験です。新たな解析により、2型糖尿病合併の有無に関わらず、全てのサブグループで、効果の早期発現および心不全に関連する健康状態についての患者報告アウトカムにおける改善など、一貫した結果が示されました。

これらのデータは米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催された米国心臓協会 (AHA)学術集会において発表されました。

バイオ医薬品の研究開発部門循環器・腎・代謝領域の後期開発担当シニアバイスプレジデントであるElisabeth Björkは次のように述べています。「世界中で約6,400万人が心不全に罹患しており、これらの患者さんの約半数は診断後5年以内に死亡すると言われています1,2。DAPA-HF試験の新たな解析結果は、全ての心不全患者さんにとってフォシーガが臨床的に意義のあることを示すサイエンスを確立させ、何百万人もの心不全患者さんの現在の治療を改善する可能性を示しました」。

5つの解析全てにおいて、フォシーガは、プラセボと比べて、心不全の悪化または進行における改善、および、患者報告による症状と生活の質の改善が示唆されました。

「DAPA-HF試験:糖尿病非合併群におけるサブグループ解析」の結果では、2型糖尿病非合併のHFrEF患者さんにおいて、フォシーガは、プラセボと比べて、主要複合評価項目のリスクを低下させました。本解析では、2型糖尿病非合併サブグループの主要複合評価項目とその構成要素、および副次評価項目を評価しました。心不全の悪化またはCV死の主要複合評価項目の相対リスクは、フォシーガ投与の糖尿病非合併群で27%低下(絶対リスク9.2% vs 12.7%, n=2605; ハザード比 0.73; 95% 信頼区間 0.60, 0.88)、フォシーガ投与の糖尿病合併群で25%低下しました(14.6% vs. 19.4%, n=2139; ハザード比 0.75; 95% 信頼区間 0.63, 0.90)。全ての構成項目が全体的な結果に貢献しました3。これらの結果により、フォシーガは2型糖尿病合併および非合併両方のHFrEF患者さんの治療薬となる可能性があることが示されました。

もう一つの事前に規定した解析である、「DAPA-HF試験におけるカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)による治療効果の評価」では、HFrEF患者さんにおける心不全による健康状態 (心不全に伴う症状、身体的制限、生活の質) に対するフォシーガの効果をKCCQを用いて評価しました。フォシーガ群のKCCQ総合スコアは4カ月目に改善を示し、8カ月目にはさらに大きな改善を示しました。フォシーガ群で大幅な悪化(5点以上の低下)を示した患者さんは少なく、多くの患者さんでKCCQ総合スコアの臨床的に意義のある改善(軽度[5点以上の増加]、中程度 [10点以上]、大幅[15点以上] )が見られました4。KCCQの症状スコアは0から100であり、スコアが高いほど心不全に伴う症状や身体的制限が少なく、5点以上の変動が見られた場合、臨床的に意義があるとされています。

事後解析である「心不全患者におけるフォシーガによる臨床的ベネフィット発現のタイミング:DAPA-HF試験における一解析」では、フォシーガのHFrEF患者さんにおける臨床的ベネフィットの発現時期をプラセボと比較検討しました。フォシーガ群ではプラセボ群と比較して、わずか4週間で、心不全の悪化またはCV死の複合リスクの低減がみられました5。これらの探索的データにより、フォシーガが心不全患者さんに対し、早期ベネフィットをもたらす可能性がさらに示唆されました。

「DAPA-HF試験における年齢による治療効果」についてのサブグループ解析では、フォシーガがHFrEF患者さんの年齢を問わず治療アウトカムに貢献する可能性を示しました。フォシーガ群とプラセボ群を比べて、副作用や投与中止に対する年齢の明らかな影響はありませんでした6

「DAPA-HF試験における左室駆出率の治療への影響」についてのサブグループ解析では、フォシーガ群では、プラセボ群と比較して、幅広い左室駆出率(LVEF)の患者さんにおいて一貫した効果を示しました(主要複合評価項目に対する交互作用のP値= 0.205)。LVEFは心不全の死亡率および入院の予測因子です7。 

これらのフォシーガの肯定的なデータは、2019年9月に発表したDAPA-HF試験の結果に基づくものです。現在、フォシーガでは、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者さんを対象としたDELIVER試験およびDETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)が実施されています。

さらに2019年9月には、米国食品医薬品局(FDA)が、第III相DAPA-HFおよびDELIVER試験に基づき、成人HFrEFもしくはHFpEF患者さんの心血管死または心不全の悪化のリスク低減を目的としたフォシーガの開発に対し、ファストトラック指定を付与しました。また、FDAはフォシーガの添付文書を改訂し、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を有する2型糖尿病患者さんの心不全による入院リスク低減の適応を追加しました。本承認は、SGLT2阻害剤で過去最大のCVアウトカム試験(CVOT)であるDECLARE-TIMI58 CVOTの結果に基づくものです。

※本邦におけるフォシーガの適応は2型糖尿病および1型糖尿病であり、HFrEFへの適応はありません。

以上

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DAPA-HF試験について
DAPA-HF(Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes in Heart Failure)試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)心不全患者さんを対象に、フォシーガ(10mg、1日1回) を心不全の標準治療に追加投与した場合の効果を、プラセボと比較評価した国際多施設共同並行群間無作為化二重盲検比較試験です。主要複合評価項目は入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管(CV)疾患を原因とする死亡でした。DAPA-HF試験の全結果は、2019年9月、The New England Journal of Medicineに掲載されました。

フォシーガについて
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。本邦では2019年3月に1型糖尿病の適応を取得しました。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されました。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝疾患 (CVRM) について
循環器・腎・代謝 (CVRM)領域は、アストラゼネカの3つの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Vos T et al. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990–2016: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. The Lancet 2017; 390(10100):1211–59.
2. Mozaffarian D et al. Circulation. 2016 Jan 26;133(4):e38-360 and the CDC. Retrieved from https://www.cdc.gov/dhdsp/data_statistics/fact_sheets/fs_heart_failure.htm.
3. McMurray, John. The Dapagliflozin and Prevention of Adverse-Outcomes in Heart Failure Trial (DAPA-HF – Results in nondiabetic patients. Presented at: American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2019, 16 Nov – 17 Nov, Philadelphia, USA.
4. Kosiborod, Mikhail N. Effect of treatment on the Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (KCCQ) in the Dapagliflozin And Prevention Of Adverse-outcomes In Heart Failure Trial (DAPA-HF) Presented at: American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2019, 16 Nov – 17 Nov, Philadelphia, USA.
5. Sabatine, Marc S. Timing of Onset of Clinical Benefit with Dapagliflozin in Patients with Heart Failure: An Analysis from the Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes In Heart Failure Trial (DAPA-HF). Presented at: American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2019, 16 Nov – 17 Nov, Philadelphia, USA.
6. Martinez, Felipe. Effect of treatment according to age in the Dapagliflozin And Prevention Of Adverse-outcomes In Heart Failure Trial (DAPA-HF). Presented at: American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2019, 16 Nov – 17 Nov, Philadelphia, USA.
7. Solomon, Scott. Influence of ejection fraction on the effect of treatment in the Dapagliflozin And Prevention Of Adverse-outcomes In Heart Failure Trial (DAPA-HF). Presented at: American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2019, 16 Nov – 17 Nov, Philadelphia, USA.