リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として欧州医薬品評価委員会より肯定的見解を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年4月29日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカとMSDのリムパーザ、
本適応において無増悪生存期間を延長する唯一のPARP阻害剤

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD、以下MSD)は、2019年4月29日、欧州医薬品庁の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としてリムパーザ(一般名:オラパリブ)を推奨したことを発表しました。

本推奨は、プラチナ製剤ベースの化学療法による初回治療後に完全あるいは部分奏効しているBRCA1/2遺伝子変異陽性(生殖細胞系列および/または体細胞系列)の進行(FIGO分類ステージⅢまたはⅣ)高異型度上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの成人患者さんの維持療法におけるリムパーザ錠の使用に対するものです。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデントでオンコロジービジネスユニット責任者のデイヴィド・フレドリクソンは次のように述べています。「世界では進行卵巣がん患者さんの7割が初回治療後3年以内に再発していることから、大きなアンメットニーズがあります。SOLO-1試験の結果は、維持療法としてリムパーザの早期使用の潜在的可能性を示し、患者さんが診断後すぐにBRCA遺伝子変異の状態を確認することの重要性をより強固に示しています」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーの Roy Baynes は次のように述べています。「進行性卵巣がんの患者さんたちは新しい治療選択肢を必要としています。リムパーザは、SOLO-1試験において、プラチナ製剤ベースの化学療法による初回治療に奏効したBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がん患者さんの維持療法として、無増悪生存期間を延長しました。承認されれば、この適応拡大はヨーロッパにおける進行卵巣がん患者さんの治療を変える可能性を持っています」。

この肯定的見解は、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効した後のリムパーザ投与が、プラセボ投与と比較して、病勢進行または死亡リスクを70%低減した第III相SOLO-1試験のデータに基づくものです(ハザード比:0.30 [95% 信頼区間:0.23-0.41], p<0.001)。36カ月時点において、リムパーザ投与群の60.4%が無増悪状態を維持したのに対し、プラセボ投与群では26.9%でした。

リムパーザは現在、BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤感受性の再発卵巣がんの維持療法として、EUを含む64カ国で承認されています。プラチナ製剤ベースの化学療法による初回治療に奏効したBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの維持療法としては、米国で承認されています。また、米国、EU、日本を含む38カ国で、化学療法歴を持つ生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がんの適応でも承認されています(EUでは進行乳がんも含む)。この他にも卵巣がんおよび乳がんに対するその他地域の規制当局による承認審査が進行中です。

なお、BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法は本邦未承認です。

以上

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SOLO-1試験について
SOLO-1試験は、BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんと診断された患者さんを対象とし、プラチナ製剤ベースの初回化学療法後の維持療法としてリムパーザ錠(300 mg 1日2回)を使用したときの有効性および安全性をプラセボと比較検討することを目的とした、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験です。本試験では、プラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全奏効または部分奏効を示している病的変異あるいは病的変異疑いに分類される生殖細胞系列あるいは体細胞系列BRCA1または BRCA2遺伝子変異が確認されている391例の患者さんが無作為に割り付けられました。

患者さんはリムパーザ投与群あるいはプラセボ投与群に無作為に割り付けられ(2:1)、最長2年間あるいは病勢進行の時点まで治験薬の投与を受けました。無作為割り付けから2年の時点で、残存腫瘍があった患者さんは、治験医師の判断で治療薬の投与を続けました。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、主な副次的評価項目は、2次進行もしくは死亡までの期間、最初の後治療開始までの期間、および全生存期間でした。

データは、2018年10月21日、ドイツのミュンヘンで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)のプレジデンシャルシンポジウムで発表され、同時にオンラインでNew England Journal of Medicineにも掲載されました。

無増悪生存期間の結果概要 1,2

1 治験医師による評価
2 追跡期間中央値(四分位範囲):リムパーザ40.7カ月(34.9-42.9)、プラセボ41.2カ月(32.2-41.6)
3 解析はイベント発現割合50.6%の時点で実施

SOLO-1の安全性プロファイルは過去の臨床試験に見られた結果と一貫していました。発現率20%以上の有害事象は悪心(77%)、疲労(63%)、嘔吐 (40%)、貧血(39%)および下痢 (34%) でした。発現率の高かったグレード3以上の有害事象は貧血(22%)および好中球減少(9%)でした。リムパーザ投与群患者さんの71%は有害事象によって減量することなく推奨初回用量を継続していました。さらに、リムパーザ投与群患者さんの88%は有害事象によって投与を中止することなく治療を継続していました。

卵巣がんについて
卵巣がんは全世界で、女性のがんによる主要な死因で、5年生存率は19%です1。2018年には、約29万5,000人が新たに診断され、約18万5,000人が死亡しました2。新たに進行卵巣がんと診断された患者さんにとって治療の最大の目的は、完全寛解または根治の達成を目指し、病勢の進行を出来る限り遅らせ生活の質を維持することです3、4、5、6

BRCA遺伝子変異について
BRCA
1およびBRCA2は損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成するヒト遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これら遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成されないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるようなさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

リムパーザについて
リムパーザ (オラパリブ)は、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子の変異などの相同組み換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがんの種類において開発が進行中です。

リムパーザについてはアストラゼネカとMSDによる共同開発、商業化が行われており、進行卵巣がんおよび転移乳がんに対して承認され、現在まで全世界で2万人を超える患者さんに使用されています。また2019年2月26日には、リムパーザが第III相POLO試験において、gBRCA変異を有する転移膵臓がんにおける有益性を実証した最初のPARP阻害剤となったことを発表しています。

リムパーザはPARP阻害剤としては最も広範囲で、かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは本剤が単剤療法として、および併用療法として複数のPARP依存性腫瘍に与える影響および複数のがんの種類におけるメカニズムを解明するために協働しています。リムパーザはアストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDDRメカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがんの種類における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は共同で、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1医薬品との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。
 

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの4つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DDRおよび抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
 

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
 

References
1. American Cancer Society. Survival Rates for Ovarian Cancer, by Stage. Available at: https://www.cancer.org/cancer/ovarian-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Accessed: March 2019
2. Globocan 2018 http://gco.iarc.fr/
3. Moore K et al. Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. Presented at ESMO October 2018
4. Raja, F. A., Chopra, N. & Ledermann, J. A. Optimal first-line treatment in ovarian cancer. Ann. Oncol. Off. J. Eur. Soc. Med. Oncol. 23 Suppl 10, x118-127 (2012)
5. NHS Choices, Ovarian Cancer Accessed https://www.nhs.uk/conditions/ovarian-cancer/treatment/ in September 2018
6. Ledermann.et al. 2013. Newly diagnosed and relapsed epithelial ovarian carcinoma: ESMO Clinical Practice