アストラゼネカ、SGLT2阻害剤「フォシーガ」の2型糖尿病合併および非合併心不全患者さんに対する影響を評価する新たな第III相試験「DELIVER」試験を開始

本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年8月23日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

グローバルで展開するDapaCare臨床プログラムの最新 第III相試験

2型糖尿病合併および非合併患者さんにおけるSGLT2阻害剤の
心血管系への効果を評価する最初の第III相試験「DAPA-HF」試験は患者登録を終了

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、現在2型糖尿病 (T2D) 治療薬として承認されている選択的ナトリウム・グルコース共輸送体阻害剤(以下、SGLT2阻害剤)フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン、以下、ダパグリフロジン)の心不全 (HF)に関する国際開発プログラムにおける2つの最新情報を2018年8月23日に発表しました。

心不全は、医療が進歩した今でも、主要な4つの悪性腫瘍の合計と同程度に致死的で、患者数が多い重篤な状態です1。2016年には世界の心不全患者さんは6,360万人と推定されており、その半数の患者さんは診断されてから5年以内に死亡しています1,2。また、2016年に心不全が原因の身体障害を有する患者さんは約778万人年(person years)とされ、心不全の有病率やそれによる治療費、早期の死亡、生産性の損失は、医療制度や社会に大きな損失を与えています1

今回開始したDELIVER (Dapagliflozin Evaluation to Improve the LIVEs of Patients with PReserved Ejection Fraction Heart Failure) 試験は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照国際第III相試験で、左室駆出率が保持された心不全(以下、HFpEF)患者さんを対象に、心血管死または心不全の悪化に対するダパグリフロジンの抑制効果を検証します。HFpEFとは、心筋は正常と同様に収縮しているにも関わらず心室が十分に拡張せず、結果として心臓から全身に送り出される総血液量が減少している状態です3。DELIVER試験は、アストラゼネカが実施するDapaCare国際臨床開発プログラムに新たに加えられた最新のアウトカム試験で、心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴およびさまざまなステージの腎疾患を有する、2型糖尿病合併および非合併の両患者さんにおいて、ダパグリフロジンの心血管系および腎に対する影響を評価します5

DELIVER試験の治験総括医師である、ハーバード大学医学部およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院の内科学教授のDr. Scott Solomonは、次のように述べました。「心不全による入院の約半数は、HFpEFによるものです4。人口高齢化に伴い有病率は増加していますが、現在エビデンスに基づいて確立された治療法はありません。DELIVER試験では、大きなアンメットニーズが存在するこの患者集団の有病率および死亡率に対するダパグリフロジンのイベント抑制効果を検証します。」

DELIVER試験は、DAPA-HF試験の相補的試験として実施されます。DAPA-HF(Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes in Heart Failure)試験は、心筋が効果的に収縮せず酸素を豊富に含む血液が体内に十分に送り出すことができない、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)の患者さんを対象に、心血管死または心不全の悪化に対するダパグリフロジンの効果を評価する二重盲検、無作為化、プラセボ対照国際第III試験です3。DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の両患者さんにおけるSGLT2阻害剤の心血管ベネフィットを評価する最初の試験であり、患者登録は終了し2019年の試験完了に向けて順調に進行しています6

DAPA-HF試験の運営委員会委員長およびDELIVER試験の運営委員会委員である、グラスゴー大学医学部循環器学教授のDr. John McMurrayは、次のように述べました。「今回、アストラゼネカと広範な臨床現場との連携により、様々な心不全に対するダパグリフロジンの有効性と安全性を検証することが可能になりました。本試験の結果により、数百万の患者さんを苦しめ、世界中の医療制度に大きな負担を強いてきた病態の見方や管理方法が大きく変わるかもしれません。」

アストラゼネカのバイスプレジデント兼グローバル医薬品開発部門循環器・腎・代謝領域の責任者であるElisabeth Bjorkは、次のように述べました。「2型糖尿病とその合併症の治療薬としてのSGLT2阻害剤クラス全体のため、当社は、DECLARE試験およびDAPA-HF試験、DELIVER試験を通じて心不全に対する臨床研究を推し進め、サイエンスの限界に挑戦しています。ダパグリフロジンの科学的エビデンスは、終了済みの試験を含め、35,000例以上の患者さんを対象とした35件以上の第IIb/III相試験からなる強固な臨床プログラムを含め、今後も引き続き蓄積されます。循環器、腎および代謝疾患という有病率が非常に高い疾患に対するダパグリフロジンでの治療を通じて臨床的な理解を深め、患者さんのアウトカムを改善することが当社の使命です。」

以上

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フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)について
フォシーガは、成人2型糖尿病患者さんの血糖コントロールの改善を適応として、経口1日1回投与で単剤療法及び併用療法の一環として使われる、ナトリウム・グルコース共輸送体2に作用するファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)です。心血管イベント、死亡もしくは心不全の抑制に対する適応はありません。
フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されています。フォシーガは、現在までに180万患者年以上、30万件以上に処方されました。

DapaCare臨床プログラムについて
アストラゼネカは、循環器、代謝および腎疾患の有病率、死亡率およびこれら疾患からの臓器保護を明らかにし、患者さん中心の包括的なアプローチによる疾患管理を目指しています。これらの疾患は相互に関連していることを受け、アストラゼネカでは、DapaCare臨床プログラムという、ダパグリフロジンの心血管および腎に対する薬効プロファイルを、患者さんの2型糖尿病の有無に関係なく検証するプログラムを開始しました。本プログラムには、約3万人近い患者さんが無作為化臨床試験に登録され、複数国で実施したリアルワールドエビデンス試験によって裏付けられています。DapaCare臨床プログラムは、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、心血管疾患の既往がある患者さん、心血管リスク因子を有する患者さん、さまざまなステージの腎疾患を有する患者さんなど幅広い患者データを構築し、患者アウトカムの改善に必要なエビデンスを医療関係者に提供します。心血管 、代謝および腎疾患に伴う複数のリスク因子に対応する包括的な患者さんへのアプローチを実現するDapaCare臨床プログラムは、サイエンスの限界に挑むという当社のコミットメントを象徴するプログラムです。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域(CVRM)について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、今後の成長基盤です。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、CVRM 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)を フォローしてご覧ください。


1. GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet. 2017;390:1211-1259.
2. Roger V, et al.; on behalf of the American Heart Association Statistics Committee and Stroke Statistics Subcommittee. Heart Disease and Stroke Statistics–2012 Update. Circulation. 2012; 125: e2-e220.
3. “Ejection Fraction Heart Failure Measurement”. Heart.org. Accessed 22 August 2018.
https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/diagnosing-heart-failure/ejection-fraction-heart-failure-measurement
4. J. Roy, et. al. “Ventricular Arrhythmias in Heart Failure”. Cardiac Electrophysiology: From Cell to Bedside, 2014 (6); Accessed 22 August 2018.
doi: https://doi.org/10.1016/B978-1-4557-2856-5.00089-3
5. National Institutes of Health. Dapagliflozin Evaluation to Improve the LIVEs of Patients With PReserved Ejection Fraction Heart Failure. (DELIVER). NCT03619213. Accessed 13 August 2018. [https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03619213?term=dapagliflozin&cond=Heart+Failure+with+Preserved+Ejection+Fraction&rank=1#wrapper]
6. AstraZeneca.  Study to evaluate the effect of dapagliflozin on the incidence of worsening heart failure or cardiovascular death in patients with chronic heart failure (DAPA-HF). ClinicalTrials.gov website. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03036124. Accessed August 6, 2018.