アストラゼネカのリムパーザ、プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療薬としてEU(欧州連合)の承認を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年5月8日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤感受性卵巣がん患者さんは、
アストラゼネカおよびMSDのリムパーザによる維持療法のへのアクセスが可能に

5年を超える有効性・安全性追跡データを保持

新規剤型により服用する製剤数が2錠1日2回へと改善



アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2018年5月8日、欧州医薬品庁(EMA)がリムパーザ(オラパリブ)錠(300mg 1日2回投与)をBRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤を含む化学療法に対し完全奏効あるいは部分奏効を示しているプラチナ製剤感受性再発高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんもしくは原発性腹膜がん患者さんにおける維持療法として承認したことを発表しました。

アストラゼネカの上級副社長兼グローバルオンコロジー事業最高責任者であるデイヴィド・フレドリクソンは次のように述べました。「今回のリムパーザの承認をもって、BRCA遺伝子変異の有無を問わず、より多くのプラチナ製剤感受性卵巣がん患者さんに対し、良好な安全性・忍容性プロファイルを有する経口治療薬により、長期的な病勢コントロールを達成する可能性を提供することが可能になります」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発の責任者兼チーフメディカルオフィサーである Roy Baynes は次のように述べました。「これは、歴史的に治療が困難な疾患である進行卵巣がんを有する何千人もの欧州の患者さんにとって重要な進歩です。アストラゼネカと一致協力し、より広範な患者集団に対し病勢進行を遅らせる一助となるこの革新的かつ標的治療薬をお届けすることが可能になりました」。

今回のEUによる承認は、リムパーザがプラセボとの比較でプラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者さんの病勢進行または死亡のリスクを低減することを示したSOLO-2試験および試験19の2本の無作為化試験に基づいています。
 




SOLO-2試験において、治験担当医師評価によるPFSの解析結果は、盲検下独立中央評価に基づくPFSの解析結果からも支持され、リムパーザ群とプラセボ群のPFS中央値において約2年の差を示しました(ハザード比 0.25 [95% 信頼性区間, 0.18-0.35], p<0.0001; 中央値 30.2カ月対 5.5カ月)。全生存期間(OS)については現時点で解析に十分なイベント数が得られていません。

試験19の最終解析では、5年間以上にわたる追跡調査において、BRCA遺伝子変異の有無を問わず、PFS の有意な延長は他の主要有効性評価項目の改善につながりました(表2)。加えて、本解析によりリムパーザ治療群の患者さんの13%が、5年間以上病勢進行を示さず治療を継続したことが示されました。
 




臨床試験全体を通じてリムパーザ単剤投与例に最もよく見られた副作用(10%以上)は悪心、嘔吐、下痢、消化不良、疲労、頭痛、味覚障害、食欲減退、浮動性めまい及び貧血でした。リムパーザ治療群の患者さんの大多数は初回用量を継続しましたが、患者さんの6-11%は有害事象が原因で治療を中止しました。

高悪性度上皮卵巣がん患者さんの約半数は、重要な DNA 修復(DDR)経路である相同組み換え修復(HRR)の欠陥を有すると予想されます。多くの場合、遺伝子変異は BRCA 遺伝子のひとつにおいて発現しますが、他の遺伝子変異も HRR 経路に影響を与えることがあります。現在、BRCA 遺伝子変異以外の欠陥をもつ患者さんを特定する検査はありませんが、プラチナ製剤ベースの化学療法への反応性により PARP 阻害剤への感受性を予測することが可能です。
リムパーザは初のPARP 阻害剤であり、当初 BRCA 遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療を目的とするカプセル剤として欧州で承認されました。この新たな剤型である錠剤により、服用する製剤数が8カプセル1日2回から2錠1日2回へと改善しました。

また、リムパーザ錠は第III相 OlympiAD 試験の良好な結果に基づき BRCA 遺伝子変異陽性HER2陰性転移乳がんの治療薬として先日 EMA に対し承認申請が行われました。

以上

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欧州における卵巣がんについて
卵巣がんは欧州において、5 番目に多いがんであり、がんによる死因の 6 番目です。欧州における卵巣がんの 5 年生存率は 38%です。2012年には、約6万5,000人が新たに診断され、約4万2,700人が死亡しました。再発卵巣がんには根治療法がないため、治療の最大の目的は病勢の進行を出来る限り遅らせ患者さんの生活の質を改善あるいは維持することです。

SOLO-2試験について
SOLO-2試験はgBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がん患者さんを対象としたリムパーザ錠の単剤維持療法としての有効性をプラセボと比較評価することを目的とした無作為化二重盲検多施設共同試験です。The European Network for Gynaecological Oncological Trial Groups(ENGOT)および Groupe d’Investigateurs National pour l’Etude des Cancers de l’Ovaire et du sein(GINECO)との協働で実施された本試験は最低 2 レジメンのプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全または部分奏効を示した生殖細胞系列の BRCA 1または BRCA 2 遺伝子変異が確認されている 295 例の患者さんを無作為に割り付けました。適格な患者さんがリムパーザ錠 300 mg 1 日 2 回投与群あるいはプラセボ錠 1 日 2 回投与群に無作為に割り付けられました。

試験 19について
試験 19は高悪性度再発卵巣がん患者さんを対象としてリムパーザの有効性と安全性を比較評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験です。 BRCA 遺伝子変異の有無を問わず、最低 2 レジメンのプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、かつそれが直近のレジメンである 265 例のプラチナ製剤感受性の再発卵巣がん患者さんを無作為に割り付けました。被験者はリムパーザを単剤維持療法として 1 日 1 回 400 mg の投与群もしくはプラセボの投与群に無作為に割付けました。

リムパーザ(オラパリブ)について
リムパーザは、ファーストインクラスのポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する最初の標的治療薬です。特に、複数のin vitro試験によりリムパーザによる細胞毒性はPARP酵素活性の阻害およびPARP-DNA複合体の生成を増加させる可能性があり、その結果DNA損傷およびがん細胞死が生じることが示されています。

リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがん腫において開発が進行中であり、アストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカと北米以外ではMSDとして知られる米国ニュージャージー州ケニルワースに本社を置くメルク・アンド・カンパニーは、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。本提携は、PARP阻害剤とMEK阻害剤は一連のがん種においてPD-L1/PD-1阻害剤と併用することが可能であることを示す増加しつつあるエビデンスに基づくものです。共同で、両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたOncologyをアストラゼネカの主な成長の原動力として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷応答および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、自己免疫、ニューロサイエンスおよび感染症の領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。