アストラゼネカのリムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移乳がんにおける全生存期間の最新データを米国がん研究会議(AACR)において発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年4月15日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2018年4月15日、米国シカゴで4月14日~18日に開催中の米国がん研究会議 (American Association for Cancer Research: AACR)において、転移乳がんにおけるリムパーザ(一般名:オラパリブ)の最終全生存期間(OS)の結果を示す第III相OlympiAD試験のデータを発表したことをお知らせします。

本試験は生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいてリムパーザと化学療法(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)を比較検討し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成しました。

AACRで発表された結果には、副次的評価項目である全生存期間(OS)の最新結果が含まれています。本試験により統計学的に有意な差異を示すことはできませんが、OS中央値はリムパーザ治療群の19.3カ月に対し化学療法治療群は17.1カ月でした(ハザード比:0.90; 95%信頼区間0.66-1.23; p=0.513)。最終OSデータカットオフ時点において(64% maturity)、約13%の患者さんはリムパーザによる治療を継続していましたが、化学療法を継続している患者さんはいませんでした。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「OlympiAD試験は、BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移乳がんにおけるPARP阻害剤による病勢コントロールを示す最初の第III相試験です。本試験は、化学療法と全生存期間を比較するデザインではありませんでしたが、本結果は、この患者集団におけるリムパーザの使用に関する新たな有望なマーカーとなります」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発の責任者兼チーフメディカルオフィサーであるRoy Baynesは次のように述べました。「本結果により、リムパーザ投与患者さんが治療において化学療法を7ヶ月間遅らせることができることを示唆するような無増悪生存期間のエンドポイントが支持されました。また、転移乳がんを最適に管理するためにBRCA発現状況を確認することの重要性が高まったという点からも、患者さんと医師双方にとって有意義な結果と言えます」。

事前に定義されたサブグループ解析の結果は、治療群間の統計学的有意差を示さなかった全体解析の結果と一貫していました。最大の差は化学療法を受けなかった転移患者さんに見られ、OS中央値の差はリムパーザ群において7.9カ月でした(ハザード比 :0.51; 95%信頼区間 0.29-0.90; 名目p=0.02; 中央値 22.6カ月対14.7 カ月)。

リムパーザの安全性プロファイルは初回の解析時と一貫しており、治療期間の延長に伴う関連蓄積毒性は見られませんでした。重篤な有害事象(グレード3以上)はリムパーザ投与群患者さんの38%において報告されたのに対し、化学療法投与群患者さんの49.5%において報告されました。

これらの結果は、リムパーザによる有意なPFS改善(ハザード比:0.58; 95%信頼区間 0.43-0.80; p=0.0009; 中央値:7.0カ月対4.2カ月)および二次進行あるいは死亡までの期間を3.9カ月改善した(ハザード比 0.57; 95%信頼区間 0.40-0.83; p=0.003; 中央値13.2 カ月対9.3 カ月)最初の病勢進行以降のベネフィットを示した過去に報告された結果に続くものです。また、過去に報告された結果により、リムパーザが客観的奏効率を倍増し(52% [95% 信頼区間 44-60] 対 23% [95% 信頼区間 13-35])、クオリティ・オブ・ライフのスコアを改善したことも示されました。OlympiAD試験のデータは2017年8月10日号のNew England Journal of Medicineで閲覧可能です。

2018年1月、リムパーザはOlympiAD試験データに基づき転移乳がんの治療薬として米国食品医薬品(FDA)により承認されました。リムパーザの生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移乳がんの治療薬としてのタイプIIバリエーション申請が先日欧州医薬品庁により有効とされました。

第III相OlympiA試験(症例数:1,800)は生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性乳がん患者さんの術後補助療法としてリムパーザを評価しており、その結果は2020年に得られると予想されています。本試験はOSに関する潜在的ベネフィットを評価できるよう設計されています。

リムパーザは、約60カ国において進行卵巣がんで承認されており世界中で2万人を超える患者さんを治療しました。同剤はPARP阻害剤としては最も広範な臨床開発プログラムを有し、アストラゼネカとMSDは、今後も複数のがん種においてリムパーザをより多くの患者さんにお届けするために協力しています。

※リムパーザは生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんの適応では本邦未承認です。

以上

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OlympiAD試験について
OlympiAD試験は302例の患者さんを対象とし、リムパーザ錠(300 mg 1日2回投与)の有効性および安全性を医師の選択した化学療法と比較検討した無作為化、非盲検、多施設共同第III相試験です。205例の患者さんがリムパーザ群に、97例の患者さんが化学療法群に無作為に割り付けられました。

OlympiAD試験に参加した患者さんは生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性乳がん(ホルモン受容体陽性またはトリプルネガティブ乳がん)を有しており、転移がんに対しリムパーザの投与を受けました。試験登録前、患者さんの71%において転移乳がんに対する化学療法による前治療は多くとも2次治療までであり、患者さんの28%においてはプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受けていました。その他、ホルモン療法が不適切であると考えられる疾患を有していない限り、少なくとも1回のホルモン療法(術後補助療法または転移がんに対する治療)を受け、治療中に病勢進行が見られた患者さんも参加しています。

転移乳がん(MBC)について
プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)およびHER2受容体が乳がん細胞に発現する可能性があります。患者さんの乳がんは、これら3つの受容体に対し陰性または陽性と判定されます。腫瘍のPRとERのいずれかまたは両方が陽性である場合、それはホルモン受容体陽性とみなされます。また、3つすべての受容体に対し陰性と判定された場合、それはトリプルネガティブとみなされます。これらの受容体は、がんの増殖を促進している可能性のあるホルモンあるいは他のタンパクを示唆します。

転移乳がん(MBC)は乳がんの最も進行したステージ(ステージIV)であり、がん細胞がリンパ節など乳房から離れた臓器に転移した時の状態を示しています。

過去30年間に治療選択肢は増加しましたが、現在MBCと診断された患者さんを治癒する方法はなく、診断後の5年生存率はわずか26.9%です。このため、転移乳がんの治療では出来る限り長く病勢の進行を遅らせ、患者さんのクオリティ・オブ・ライフを改善あるいは最低限維持することを目的に行われます。
乳がんは最も発現率の高い女性のがんであり、2012年単年において、世界中で推定167万人が新たに診断されていますが、これはすべてのがん患者さんの4人に1人に相当します。早期乳がんと診断された女性の約30%はその後進行がんへと移行します。

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復に関わるタンパク質を生成するヒト遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これらの遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成しないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞のがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

リムパーザについて
リムパーザは、ファーストインクラスのPARP 阻害剤であり、BRCA 遺伝子変異のようなDNA 損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する最初の標的治療薬です。特に、複数のin vitro 試験によりリムパーザによる細胞毒性はPARP 酵素活性の阻害およびPARP-DNA 複合体の生成を増加させる可能性があり、その結果DNA 損傷およびがん細胞死が生じることが示されています。
PARP阻害剤として最も広範な臨床開発プログラムを有するリムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがん種において開発が進行中であり、アストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカと北米以外ではMSDとして知られる米国ニュージャージー州ケニルワースに本社を置くメルク・アンド・カンパニーは、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。本提携は、PARP阻害剤とMEK阻害剤は一連のがん種においてPD-L1/PD-1阻害剤と併用することが可能であることを示す増加しつつあるエビデンスに基づくものです。共同で、両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。