アストラゼネカの生物学的製剤ベンラリズマブが欧州医薬品評価委員会(CHMP)からコントロール不良の好酸球性重症気管支喘息治療薬としての肯定的な見解を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年11月10日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

ベンラリズマブは、好酸球を標的とし速やか、かつ完全に除去する
独自の作用機序をもつ
8週間間隔投与の、アストラゼネカ初の呼吸器領域の生物学的製剤

大幅な喘息増悪の減少、呼吸機能の改善、経口ステロイド薬の減量を示した
大規模な第III相試験プログラムの結果に基づき勧告を取得

 

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)および、アストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(以下、CHMP)より、高用量吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用性β2刺激薬(LABA)による治療を受けていてもコントロール不良の好酸球性重症喘息を有する成人患者さんに対する追加療法として、呼吸器領域の生物学的製剤ベンラリズマブ(遺伝子組換え)(以下、ベンラリズマブ)の医薬品販売承認を勧告する肯定的な見解を取得したことを11月10日に発表しました。

アストラゼネカ社のグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは、「この肯定的な勧告は、好酸球性のフェノタイプをもつコントロール不良の重症喘息患者さんに、次世代の治療を提供するための重要な一歩となります。ベンラリズマブは、有効性、速効性、利便性、さらに経口ステロイド薬の減量効果が期待でき、これらの特徴によって患者さんは、真の違いを経験することができるでしょう」と述べました。

CHMPの勧告は、喘息増悪などを評価した主要第III相臨床試験であるSIROCCO試験およびCALIMA試験、並びに経口ステロイド薬(OCS)の減量を評価した第III相試験であるZONDA試験を含むWINDWARDプログラムの結果に基づくものです。8週ごとにベンラリズマブを投薬したレジメンの試験結果は以下の通りです。

· 年間喘息増悪率がプラセボに対して最大51%低下
· 初回投薬後、速やかに呼吸機能を改善(4週目で一秒量[FEV1]がベースラインから290 mL増加)。速やかな効果を示す
· 経口ステロイド薬の一日投与量を中央値で75%減量し、対象患者さんの52%において経口ステロイド薬の服用を完全に中止
· 有害事象プロファイルは、プラセボと同様

CALIMA試験の治験責任医師で、英国ノッティンガム大学喘息・呼吸器内科教授のTim Harrison氏は、「コントロール不良の重症喘息は、世界中の何百万もの人々に影響を与え、患者さんの多くは、現行の治療を受けていても入院・救急搬送・死亡の高いリスクを抱え、症状のために衰弱しています。ベンラリズマブは、重症気管支喘息の治療を一変させる確かな有効性と利便性を備えた、正確な標的治療を可能とする新しい抗体薬です」と述べました。

ベンラリズマブは、好酸球に直接かつ速やかに作用し、24時間内にほぼ完全に好酸球を除去する、アストラゼネカ初の呼吸器疾患領域の生物学的製剤です。好酸球は白血球の一種で、通常の身体免疫システムの一部を担いますが、重症喘息患者さんのおよそ半分で好酸球レベルの上昇がみられ、それにより気道炎症や気道過敏性が引き起こされ、その結果、喘息が重症化し症状が悪化、呼吸機能の低下や増悪リスクの増加につながります。

ベンラリズマブは、好酸球の表面に発現するインターロイキン-5受容体αに直接作用し、独自にナチュラルキラー細胞を活性化しアポトーシスを誘導します(プログラム細胞死)。当局に承認された場合、ベンラリズマブはプレフィルドシリンジによって固定用量を8週間隔で皮下注射によって投与する治療薬として提供されます。

SIROCCO試験およびCALIMA試験結果を用いて最近実施した併合解析により、ベンラリズマブでの治療による最大のベネフィットを享受できるであろう重症喘息患者さんを、医師がより正確に同定するために役立つ好酸球フェノタイプの特徴が明確になりました。

今後は、EU加盟の28カ国およびアイスランド、ノルウェイ、リヒテンシュタインにおける医薬品承認権限を持つ欧州委員会がCHMPの肯定的な見解を審査します。

ベンラリズマブは、米国、日本およびその他数カ国においても当局による審査中です。米国FDAの審査終了目標日(PDUFA date)は2017年第4四半期中とされており、それ以外の国では、2018年上半期中に当局の決定があると予測されます。

以上

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重症気管支喘息について
気管支喘息は世界3億1,500万人の人々に悪影響を与えており、喘息患者さんの最大10%は標準治療である高用量の喘息コントロール薬による治療にもかかわらず症状のコントロールが不良の重症喘息であり、経口ステロイド薬の継続使用が必要になる場合があります。
コントロール不良の重症気管支喘息は死に至ることもある耐え難い疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下、生活の質(QOL)の著しい制限を余儀なくされます。コントロール不良の重症気管支喘息患者さんの死亡リスクは重症気管支喘息患者さんより高いとされています。
コントロール不良の重症気管支喘息は、経口ステロイド薬依存を引き起こす可能性があります。全身性ステロイドの投与によって、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安感、うつ、循環器疾患および免疫抑制を含む重篤な副作用を短期間または長期間起こすことがあります。さらに重症気管支喘息患者さんの疾患による身体的負担ならびに社会経済的な負担も大きく、喘息関連費用の約50%にあたるとも言われています。

ベンラリズマブ(遺伝子組換え)について
ベンラリズマブは、ナチュラルキラー細胞を誘導することで、好酸球に直接かつ速やかに作用し、かつほぼ完全に除去するモノクローナル抗体です。早期第I/II相試験により、末梢血中の好酸球が、24時間以内に速やかに除去されることが確認されています。主要第III相SIROCCO試験およびCALIMA試験では、ベンラリズマブによって、コントロール不良の好酸球性の重症喘息患者さんの喘息増悪頻度を大幅に減少し、呼吸機能および喘息症状を改善する結果が示されています。喘息患者さんの約50%においては、好酸球が生物学的エフェクター細胞として、頻回の増悪、呼吸機能の低下や、喘息症状の悪化を引き起こします。ベンラリズマブはどの国・地域においても未承認ですが、現在米国、EU、日本およびその他数カ国において承認審査中です。
ベンラリズマブは、アストラゼネカの呼吸器疾患領域において、呼吸器疾患の根本原因を究明する新薬候補となる生物学的製剤ポートフォリオの基盤となっています。ベンラリズマブはまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬としても開発されています。
ベンラリズマブは、日本の協和発酵キリン株式会社の完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンが開発しました。

WINDWARDプログラムについて
気管支喘息に関するWINDWARDプログラムはSIROCCO試験、CALIMA試験、ZONDA試験、BISE試験、BORA試験およびGREGALE試験を含む6つの第III相臨床試験により構成されています。2つの主要試験SIROCCO試験およびCALIMA試験は、喘息増悪が発現傾向にある12歳以上の患者さんを対象に、ベンラリズマブの標準治療(固定用量30mgの皮下投与)の有効性および安全性を評価する、無作為化二重盲検対照群間プラセボ対照試験です。
SIROCCO試験およびCALIMA試験は、重症喘息の標準治療(高用量の吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬 [ICS/LABA] を含む)を受けている患者さん計2,510例(SIROCCO試験1,204例、CALIMA試験1,306例)が、ベンラリズマブ 30mgを4週間ごとに投薬する群と、ベンラリズマブ30mgを最初の3回は4週間ごと、その後8週間ごとに投薬する群、もしくはプラセボ群に、世界中から無作為に割り付けられました。ベンラリズマブはプレフィルドシリンジによる皮下注射で投与されました。
最近発表されたSIROCCO試験およびCALIMA試験の併合事後分析では、ベースライン血中好酸球数、頻回増悪の回数、経口ステロイド薬の常用および鼻ポリープの有無などの簡単に判別できる好酸球性重症喘息の臨床特徴と、ベンラリズマブの有効性との関係性が明らかになりました。
薬事承認申請を目的とする3番目の試験であるZONDA試験は、コントロール不良で経口ステロイド薬依存傾向がある好酸球性重症喘息患者さんにおいて、ベンラリズマブ投与群はプラセボ群との比較で、維持療法としての経口ステロイド薬投与量が、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある減量ができることを示しました。ベンラリズマブによる治療をうけた患者さん群の経口ステロイド薬投与量の減量中央値は75%で、プラセボ群の患者さんに比べ経口ステロイド薬減量の可能性が4倍以上高いことが示されました。本結果はthe New England Journal of Medicineの2017年5月号に掲載されました。
WINDWARDプログラムに加え、重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんにおけるベンラリズマブの有効性および安全性を評価する第III相VOYAGERプログラムも現在進行中です。

アストラゼネカにおける呼吸器疾患について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2016年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびに画期的なAerosphere Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、米国、EUおよび日本において現在薬事承認審査中のベンラリズマブ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、現在第III相試験を実施中のtralokinumab(抗IL-13抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目と副次評価項目の達成に成功した tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究を行っています。

メディミューンについて
メディミューンは、アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門で、低分子化合物および生物学的製剤の医療用医薬品の研究、開発および商業化に特化する、グローバルなイノベーション志向のバイオ・医薬品企業です。メディミューンは、革新的な研究を先駆的に進めており、オンコロジー、呼吸器疾患、循環器・代謝疾患、および感染症・ワクチン等を重点疾患領域として、新規治療経路の検討に取り組んでいます。メディミューンの本社は、アストラゼネカの3つのグローバル研究開発拠点のひとつである米国メリーランド州ゲイザースバーグにあり、加えて英国ケンブリッジおよび米国カリフォルニア州マウンテンビューにも研究所があります。詳細については https://www.medimmune.comをご覧ください。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展へのさらなる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。