イレッサの国内第III相比較試験の結果について

2007年 02月 27日

 

アストラゼネカ株式会社は、平成18年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(平成19年2月1日開催)に、イレッサの国内第III相比較試験の結果を報告しました(調査会の内容については厚生労働省のウェブサイトに掲載されています(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0201-4.html)。

試験の概要
本試験は、1又は2レジメンの化学療法治療歴(少なくとも1レジメンは白金製剤を含む)を有する、進行/転移性(IIIB 期/IV 期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者において、イレッサ(一般名ゲフィチニブ)250mg/日とドセタキセル60mg/m2 を比較したものです。


結果の概要
無作為割付症例数は、490例(イレッサ群:245例、ドセタキセル群:245例)でした。

本試験の主要目的は、試験実施計画書で規定した統計学的な判定基準(Cox回帰分析を行い、ハザード比の信頼区間の上限が1.25以下であること)に従い、全生存期間におけるイレッサのドセタキセルに対する非劣性を証明することです。
この規定された解析を行った結果、主要目的であるイレッサのドセタキセルに対する非劣性の証明には至りませんでした(ハザード比 1.12、95.24%信頼区間 0.89-1.40、p= 0.330)。
なお、この解析は、全生存期間におけるドセタキセル群に対するイレッサ群の効果が時間の経過にかかわらず一定であることを前提としていますが、第三者統計専門家が行った追加の解析では、当該効果が時間依存的に変化するという結果がでており、その前提が成り立っているとは言い難い結果でした。
また、生存期間の結果は、病勢進行後の治療(後治療)の影響により、解釈が困難でした。すなわち、イレッサ群に割付けられた患者のうち、36%の患者がドセタキセルによる後治療を受け、40%がイレッサ以外の後治療を受けていませんでした。一方、ドセタキセル群の患者のうち53%の患者がイレッサによる後治療を受け、26%の患者がドセタキセル以外の後治療を受けていませんでした。

副次的目的では、イレッサの治療効果に関し、より詳細な知見が得られ、イレッサは奏効率、治療成功期間、QOLにおいて統計学的に有意に良好な結果が認められました。

  • 奏効率(イレッサ22.5% 対 ドセタキセル12.8%、オッズ比 2.14、95%信頼区間 1.21-3.78、p= 0.009)
  • 治療成功期間(ハザード比 0.63、95%信頼区間 0.51-0.77、p< 0.001)
  • QOL (TOI 改善率:イレッサ21% 対ドセタキセル 9%、p値 0.002、FACT-L:イレッサ 23% 対 ドセタキセル14%、p= 0.023)

しかし、無増悪生存期間、病勢コントロール率、疾患関連症状について有意差は認められませんでした。

  • 無増悪生存期間 (ハザード比 0.90、95%信頼区間 0.72-1.12、p= 0.335)
  • 病勢コントロール率 (イレッサ34.0% 対 ドセタキセル33.2%、オッズ比1.08、95%信頼区間 0.69-1.68、p= 0.735)
  • 疾患関連症状 (随伴症状改善率 イレッサ23% 対ドセタキセル20%、p= 0.562)

イレッサの治療効果は、これまでの日本における使用成績と一貫した結果であると考えられます。

  • イレッサの生存期間中央値11.5ヶ月(IDEAL1試験における日本人サブセット解析の生存期間中央値13.8ヶ月)。

イレッサの安全性プロファイルは、最新の添付文書の記載内容とほぼ同様でした。
ILD(急性肺障害・間質性肺炎)は両群で認められ(イレッサ5.7%、ドセタキセル2.9%)、ILDによる治療関連死はイレッサで3例(1.2%)ありましたが、ドセタキセルには認められませんでした。
本試験で報告されたイレッサのILD発現頻度と死亡率は現在の添付文書の記載と同様でした。
イレッサの副作用発現頻度は95.5%(ドセタキセル97.5%)であり、Grade3、4の副作用は24.2%(ドセタキセル79.5%)でした。

当社の対応
本結果等を踏まえ、安全対策調査会は、「1又は2レジメンの化学療法歴(少なくとも1レジメンは白金製剤を含む。)を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌の患者の治療に際し、一般的に、ドセタキセルに優先してイレッサの投与を積極的に選択する根拠はない旨について、患者に十分な説明が行われるよう、医薬関係者に速やかに情報提供することが適当である」等の意見を示しました。
当社は、安全対策調査会の意見を踏まえ、本試験の結果等について、速やかに医薬関係者に情報提供しました。また、次の2点についても鋭意対応していきます。

  • 国内第III相比較試験の結果について、患者背景、後治療の影響、未整理のデータ等について更に詳細な解析を行い、その結果を安全対策調査会に報告すること
  • EGFR遺伝子変異の解明等について、より一層の取組を図ること